「モンスター社員」とはどんな社員?よくある言動や事例
モンスター社員とは、一般的に「職場内外や勤務態度が常識外れな社員」のことを指します。
おもにどのような言動が見られるのか一覧にまとめてみました。
- 頻繁に遅刻・欠勤を繰り返す・勤怠不良
- 業務中に仕事をせず、サボってばかりいる・
- 上司や部下、同僚や取引先、顧客などにハラスメント(パワハラ・セクハラ・モラハラ・フキハラ)行為をする
- 暴力・暴言・いじめ
- 自分勝手な行動ばかりする・協調性の欠如
- 上司の指示を無視する
- 業務命令に従わない
- 仕事中、周囲に聞こえるようにため息をつく・舌打ちをする
- 能力不足・情報漏洩
- 権利ばかり主張する
- 会社内外でトラブルを起こす・素行不良・トラブルメーカー
- 家族による干渉 など
モンスター社員には多くの問題行動が見られますが、「労働基準法において守られている存在」でもあります。
下手に対処して刺激してしまうと、労働基準法違反として訴訟を起こされるリスクも考えられるでしょう。
そうならないためにも「辞めさせたい」「追い出したい」と思ったときこそ冷静、かつ慎重に進める必要があることを認識しておきましょう。
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【タイプ別】モンスター社員の特徴
モンスター社員を大まかに分けると、次の5つのタイプに分けることができます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
ハラスメント型
ハラスメント型は、自分の立場に関係なく、上司・部下・同僚・取引先・顧客などさまざまな人へハラスメントをおこなうタイプです。
- 男性や女性へのセクハラ
- 妊娠・出産・育児を理由に嫌がらせなどをおこなうマタハラ
- 暴言や暴力、立場を利用した嫌がらせなどをおこなうパラハラ
- 無視や侮辱、わざと大事な連絡をしないなど精神的な苦痛を与えるモラハラ
- ため息や舌打ちなど不機嫌な言動を繰り返すフキハラ など
このほかにも、お酒を飲めない人にお酒をすすめるアルハラ、介護休業の利用に関して嫌味な言葉を発するケアハラなどさまざまなものがあります。
怠惰型
怠惰型は、理由もなく会社を休んだり、就業時間中仕事をサボっているタイプです。
モンスター社員が仕事をしていないことにより、周りの社員が仕事が回らなくなったり、モンスター社員の分まで仕事をすることになったりなど被害をこうむる形になります。
もちろん、クビにしない限り会社側は給与を出さなければなりません。
会社としても大きな損失となってしまうでしょう。
自信過剰型
とにかく自己中心的でわがままな態度をとるのが自信過剰型です。
周りの意見を一切聞かず自分の意見だけを通そうとするため、チーム全体のパフォーマンスが落ちたり、プロジェクトの結果が出なかったり、仕事が進まなかったりするリスクが生じます。
やけにプライドが高いという特徴もあり、プライドを刺激すると暴言を吐いたり、嫌がらせするようになったりなどの言動も見られがちです。
被害妄想型
他の社員に少しでも注意や指摘をされただけで、大袈裟な反応をしたり、ネガティブな発言をして周りを困らせるのが被害妄想型です。
自分の落ち度やミスなどを棚に上げて「いじめられた」「〇〇さんにハラスメントされた」など被害者アピールをする傾向があります。
反抗型
反抗型は、注意や指導、命令に対して反抗ばかりするタイプのモンスター社員です。
周りの言うことを聞かないため同じミスを繰り返したり、ミスを繰り返すことで仕事を停滞させたりなどの悪影響を及ぼします。
また、職場や業務に相応しくない服装・ヘアスタイル・アクセサリー・メイク・ネイルなどをしがちなのもこちらのタイプ。
反抗期そのままのような態度を取る傾向が見られます。
精神疾患や発達障害がある可能性も
- モンスター社員の中には、精神疾患や発達障害が仕事に影響していることもあります。
- コミュニケーション能力に困難を抱えるアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム障害)
- 「悪口を言われている」「嫌がらせをされている」などの妄想・幻想が現れる統合失調症
- 気分が上下しやすい(うつ状態・躁状態を繰り返す)双極性障害
- 不注意や多動などで時間が守れないADHD
- ストレスによって意欲や気分の落ち込みが見られる適応障害 など
モンスター社員に弱点はあるのか
モンスター社員の弱点を社員全員が理解・納得すれば、一時的にでも環境が良くなることも期待できます。
【モンスター社員の弱点】
- 精神的な余裕や柔軟性がない
- 業務への意欲が不足している
- 協調性やコミュニケーション能力が不足している
- 承認欲求が強い
上記のような弱点を周囲の社員が理解し、ワンチームとなって適切な言葉でフィードバックしたり、定期的な研修の実施、バックアップ体制の整備などをおこなうことで職場の環境が良くなることもあるでしょう。
とはいえ、モンスター社員本人の反省や改善が見られるとは限りません。
徐々に周囲の社員が「もう疲れた」「関わりたくない」とモンスター社員と距離を置くようになったり、メンタルを病んでしまったり、環境が悪化することも考えられます。
弱点を理解した職場環境づくりも大切ですが、周囲の社員の労働環境や心身の健康、また会社全体の利益を考えることも重要です。
モンスター社員以外の社員に過度に負担をかけないよう、上層部こそが正しく対応・対処することが大切だということを認識しておきましょう。
なぜモンスター社員が出現してしまうのか?
なぜモンスター社員が現れてしまうのか、その背景にはさまざまなものがあります。
- 面接で会社側が人物像を見抜けなかった
- 周りとのコミュニケーション不足によって孤立し、結果的に自分勝手な行動しか取れなくなってしまった
- もともと会社にいたモンスター社員が、育成などを通して新たにモンスター社員を生み出した
- 精神疾患や発達障害 など
入社当初からモンスター社員の素質があった人、また入社後に何らかのきっかけがありモンスター社員になってしまった人、どちらも存在し、どの職場にでも出現するリスクがあります。
つまり、1人のモンスター社員を辞めさせても、次に雇った人物がモンスター社員、あるいはモンスター社員になってしまう可能性があるということです。
原因を追求することも大事ですが、どう対処をすればいいのか、会社全体で対策を練っておくことも重要になってくるでしょう。
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モンスター社員を野放し・放置する企業の末路
モンスター社員と一緒に働いている上司・部下・同僚などはもちろん、管理者や代表者も「モンスター社員を追い出したい」「辞めてもらいたい」などと思っているはずです。
しかし「モンスター社員を説得するのは大変そう」「面倒なことになりそう」「そのうち辞めるだろう」など、野放し・放置している会社も少なくありません。
では、モンスター社員を野放し・放置するとどのようなリスクがあるのか、一覧を見ていきましょう。
- 会社全体の空気や居心地が悪くなる
- 全体的な生産性の低下
- いじめや盗難などの発生
- 周りの社員や人材が離職・退職する
- 人材が育たなくなる
- 顧客や取引先との信頼関係が崩れる
- モンスター社員の言動により業界での評判が悪くなる
- 社会に会社の悪い噂が広まる、SNSで炎上する
- 下手に刺激するとモンスター社員から訴訟を起こされるリスクがある
- 株価の下落
このように、モンスター社員を野放し・放置するリスクは大きいものです。
周りの社員や人材、優秀な人物が辞めてしまうと会社全体の損益に繋がりますし、顧客や取引先を失うリスクも発生します。
下手に刺激したり、間違った対応をおこなってしまうと「傷ついた!」「パラハラだ!」「モラハラだ!」などの理由をつけて訴訟を起こされることもあるでしょう。
顧客や取引先に失礼な態度を取ったり、訴訟を起こされたりすると、会社のイメージがどんどん悪くなってしまうと「ここに就職したい」と思う人も減ってしまいます。SNSで悪い噂が拡散されてしまうと、株価の下落や倒産などに追い込まれることもあり得る話です。
このようなリスクを防止するには、会社側が正しい対策をおこなうことが何よりも重要になります。
では、モンスター社員にはどのように対応すべきなのか、次章で詳しく見ていきましょう。
【モンスター社員への対応】円満に辞めさせる方法・手順
前述したように、モンスター社員を野放し・放置するとさまざまなリスクが伴います。
会社や社員が最悪な末路を歩まないようにするためにも、できるだけ円満にモンスター社員が自ら会社を辞めるよう誘導することができれば、致命的な問題を避けることが可能です。
では、モンスター社員を円満に辞めさせるにはどうしたらいいのか、正しい対応・手順は次のようになります。
- 事実確認・証拠の収集
- 改善・弁明の機会を与える
- 処分は段階的に実施する
- 合意による退職
- 懲戒解雇
それぞれの詳細について見ていきましょう。
1. 事実確認・証拠の収集
まずはモンスター社員の問題行動を確認し、証拠の収集・記録・確保しましょう。
被害を被っている社員と面談して情報収集したり、社内に監視カメラがある場合は過去の記録を確認してみるのもおすすめです。
モンスター社員の言動に対して上司や同僚が注意・指導をする際には、その内容を録音や録画などの形で残しておきましょう。
2. 改善・弁明の機会を与える
問題行動に対して会社側から注意・指導をした際は、モンスター社員本人の言い訳や弁明、気持ちなどをヒアリングし、反省や改善の機会を与えましょう。
必要に応じて始末書を提出させるのもひとつの方法です。
このステップを省いて懲戒処分などを実施すると、労働契約法上「社会通念上の相当性を欠いている」として、処分が無効になってしまう可能性があるため注意しましょう。
3. 処分は段階的に実施する
注意や指導をしても反省や改善が見られない場合は、段階的に処分を実施していきます。
- 別部署や支社への異動
- 戒告・厳重注意
- 減給
- 役職からの降格
- 出勤停止
上記のような懲戒処分をおこなうにあたり、下記の要件が充足しているかチェックしてみてください。
- 問題行動の証拠は確保できているか
- 改善・弁明の機会を十分に与えたか
- モンスター社員の言動が就業規則の懲戒事由に当てはまっているか
- 処分の内容が社会通念上、相当なものか
つまり「懲戒権の濫用」とみなされないか考慮することが大切になってきます。
また、減給をおこなう際は「労働基準法第91条」に基づいて実施することも大切です。
(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
引用元:厚生労働省「労働基準法に定められているその他の規制」
相手はモンスター社員であれど、労働者として国や法律に守られている存在です。
強引に処分をおこなうと訴えられるリスクが発生します。
懲戒処分を実施する際は、違法行為にならないよう慎重におこなうようにしましょう。
4. 合意による退職
段階的な処分をおこなってもなお反省・改善が見られない場合、モンスター社員に退職を勧奨しましょう。
交渉する際は、以下のポイントを抑えることが大切です。
- これ以上問題を起こすと解雇される恐れがあることを伝える
- 自己都合退職であれば退職金が出ることを伝える
- 強引に退職を迫らない
長時間にわたって退職するよう説得したり、本人が「辞めない」「退職しない」と断ったにも関わらず何度も退職勧奨をおこなうと「退職強要」とみなされ、「強要罪」が成立することがあります。十分にお気をつけください。
5. 懲戒解雇する
最終的には懲戒解雇という最後の手段をおこないます。
ただし、相手はモンスター社員。一筋縄ではいかないことが予測され、下手に刺激してしまうと「不当解雇だ」「解雇権の濫用だ」と裁判を起こされるリスクもあるでしょう。
よって、懲戒処分や懲戒解雇を実施する前に、法律のプロ・弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士であれば、モンスター社員を円満にかつ確実に辞めさせる方法について企業側にアドバイスをしたり、モンスター社員本人に退職勧奨をおこなうことができます。
顧問弁護士がいない場合、ビジネス問題に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。
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モンスター社員を辞めさせるための証拠集めは探偵にご相談を
これまでモンスター社員を辞めさせる方法・手順についてお伝えしてまいりましたが、第一段階の「モンスター社員の問題行動の証拠」を準備することが困難だという企業は多いものです。
適切な証拠が無ければ、懲戒処分どころか反省や改善を促すことも難しいでしょう。
確実な証拠を収集したいときは、探偵に調査を依頼するのもひとつの方法です。
探偵に依頼すれば、業務時間中はもちろん、欠勤中のモンスター社員の行動も調査をして、証拠集めを行うことも可能です。
多くの探偵事務所で無料見積もり相談をおこなっておりますので、まずは無料の範囲内でのご相談からスタートしてみてはいかがでしょうか。
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確実にモンスター社員を辞めさせたい!
モンスター社員を野放し・放置するのは思っている以上に危険なものです。
本章でお伝えした通り、1人の言動のせいで優秀な社員が退職したり、悪い噂が広まって炎上したり、新規採用希望者が減ったりなど、さまざまなリスクが伴います。
最悪の場合、株価の下落や倒産などの末路を迎えることもあるでしょう。
このようなリスクを避けるには、専門家への相談がベストな方法です。
モンスター社員を合法的に辞めさせたいときは弁護士へ、モンスター社員の社内や社外での問題行動を記録したいときは探偵へのご相談をぜひご検討ください。
スムーズな解決を目指し、誰もが安心して働ける良い環境の会社・職場を取り戻しましょう。