詐欺被害では警察は動かないって本当?
詐欺の基本概念と被害の現状
詐欺とは、被害者を騙して金銭や品物を奪う悪質な犯罪です。
実在する企業に偽装したフィッシング詐欺、恋愛感情を利用した交際詐欺、投資話を持ちかける投資詐欺など、手口は多岐にわたります。
いずれも身近で起こりやすく、被害に気づくまで時間がかかることが特徴です。
警察庁の統計によると、2023年の特殊詐欺による被害額は452.6億円で、前年比81.8億円増となっており、年々手口が巧妙化しています。
出典:警察庁公式資料:「令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」
- 欺罔(被害者に嘘の情報を与えること)
- 錯誤(被害者が嘘の情報を信じてしまうこと)
- 交付行為(嘘の情報に基づいて、被害者が自ら金銭や品物を交付すること)
- 財産移転(被害者から交付された金銭や品物を加害者のもとに移転すること)
特に若年層をターゲットにした副業詐欺や投資詐欺が急増し、被害の多様化が深刻な問題となっています。
「警察は動かない」という誤解の背景
実際に詐欺被害に遭った方から、以下のような声を聞くことがあります。
「警察に通報しても対応してくれない」
「警察に通報しても意味がない」
結論から申し上げると、警察が動いてくれないということはありません。
ただし、以下の詐欺の構成要件が満たされていない状態で相談すると、警察はすぐに動けません。
- 欺罔(被害者に嘘の情報を与えること)
- 錯誤(被害者が嘘の情報を信じてしまうこと)
- 交付行為(嘘の情報に基づいて、被害者が自ら金銭や品物を交付すること)
- 財産移転(被害者から交付された金銭や品物を加害者のもとに移転すること)
「詐欺被害に遭ったのに警察が動いてくれない」と悩む方の多くは、これらの条件を証明する証拠が不足していることが原因です。
条件が満たせない場合でも、詐欺に遭ったかもしれないと感じたら、被害状況を詳しく説明して最寄りの警察に相談することで、適切なアドバイスを受けられる可能性があります。
詐欺被害に遭っても警察が動かないケース
詐欺被害で警察に相談しても、以下のケースでは対応が困難になることがあります。
- 証拠が不十分な場合
- 被害が軽微の場合
- 民事事件の場合
証拠が不十分な場合
詐欺被害で警察に相談する際、必ず証拠の有無を確認されます。
警察には『疑わしきは罰せず』という原則があるため、明確な証拠がない場合は、どんなに悪質な詐欺でも動くことができません。
『証拠になるかわからない』というものでも、念のため提出して相談することをおすすめします。
警察から『こんな証拠があれば動ける』といったアドバイスを受けられる可能性があります。
被害が軽微の場合
100円や1000円など少額の詐欺被害では、警察が動かないのが現実です。
ただし、同様の被害が繰り返されていたり、他にも被害者がいることが判明している場合は、『被害が拡大する可能性がある』として警察が動いてくれることもあります。
民事事件の場合
警察には『民事不介入の原則』があり、基本的に私人間のトラブルには介入できません。
たとえば、元恋人からお金が返ってこない、友人に貸したお金が返ってこないといったケースは民事事件にあたり、警察は詐欺被害として扱いません。
被害者が通報をためらってしまう理由
詐欺被害者の多くは、自分が騙されたことを恥ずかしく感じ、周囲に相談するのをためらいがちです。
こうした気持ちが、結果的に警察への通報を遅らせる原因となります。
特に高齢者の場合、家族に心配をかけたくない思いから被害を隠そうとするケースが目立ち、その間に証拠が散逸してしまい、犯人特定や被害回復が難しくなることも少なくありません。
このような状況が積み重なることで、警察は動いてくれないという印象につながってしまうのです。
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詐欺被害で警察に動いてもらえるようにするための方法
証拠が不十分な場合や軽微な被害でも、以下の方法により警察が動いてくれる可能性が高まります。
証拠をできるだけ集める
詐欺被害に遭ったら、できるだけ多くの証拠を集めましょう。
具体的には以下のような証拠が役立ちます。
- 被害に遭った際のメールやメッセージのやりとり
- 詐欺サイトのURLやスクリーンショット
- 詐欺師の電話番号やメールアドレス
- 送金記録や振込明細書
- 被害の経緯を時系列でまとめた記録
自分での証拠収集が困難な場合は、探偵などの専門機関に依頼することも効果的です。
探偵は聞き込み調査や張り込み調査を用いて、より詳細な証拠を収集できます。
効果的な証拠収集のポイント
証拠収集では時系列を整理して保存することが重要です。
詐欺は段階的に進行するため、最初のアプローチから金銭を奪われるまでの流れを記録することで、詐欺の全体像を明確にできます。
これらの証拠を系統立てて整理し警察に提出することで、欺罔・錯誤・交付行為・財産移転の4つの条件が満たされ、警察も犯人逮捕に向けて動いてくれるでしょう。
告訴状を提出する
通常は被害届を提出しますが、告訴状の提出が確実な手段です。
被害届は被害を警察に知らせる書類ですが、告訴状は被害の報告と合わせて加害者への処罰を求める書類です。
告訴状を受理した警察は、必ず捜査を進める義務があります。
そのため、被害届と比べて警察が動いてくれる可能性が格段に上がります。
ただし、告訴状は捜査義務が生じるため簡単に受理されません。
弁護士に相談し、適切な告訪状を作成してもらうことが成功の鍵となります。
告訴状と被害届の違い
最も大きな違いは警察の捜査義務にあります。
被害届は情報提供の性質が強く、警察に捜査義務はありません。
一方、告訴状が受理されると、警察は捜査を行い検察庁に事件を送致する義務が生じます。
同種被害者との連携を図る
詐欺事件では、同一犯人による複数の被害者が存在するケースが多くあります。
被害者同士が連携し、合同で警察に相談することで、事件の重要性をアピールできます。
特に投資詐欺や副業詐欺では被害者が数百人に及ぶケースもあり、被害者の会を結成して組織的に対応することが効果的です。
被害規模が明確になることで、警察も優先的に対応せざるを得なくなります。
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【番外編】詐欺被害を未然に予防する方法
警察が動いてくれても、悪質な詐欺は再発する可能性があります。
自分でも予防策を講じることが重要です。
以下の点を徹底することで、詐欺被害を未然に防げます。
個人情報をむやみに開示しない
知り合ったばかりの人から個人情報を求められた場合、安易に教えてはいけません。
名前や住所はもちろん、『クレジットカードが不正使用されている』などと言われてカード情報や口座情報を聞き出そうとされても、絶対に教えてはいけません。
また、Amazonや楽天などを装った偽サイトへの誘導にも注意が必要です。
怪しいサイトや怪しいメールは開かないようにしましょう。
金銭にまつわる話題が出たら、疑うようにする
『お金を預ければ確実に倍にできる』といった投資話を持ちかけられたら、詐欺を疑いましょう。
『うまい話には裏がある』の通り、都合の良い話には必ず落とし穴があります。
常に疑いの目で見ることが大切です。
結婚相談所やマッチングアプリで知り合った相手から金銭を要求されるケースも多発しています。
恋愛感情を利用した詐欺もあることを認識し、金銭の話が出たら一度冷静になって判断しましょう。
デジタル時代の詐欺予防策
近年はSNSやマッチングアプリを悪用した詐欺が急増しています。以下の特徴がある場合は特に注意が必要です。
- SNS上での投資勧誘や副業紹介
- 「限定」「今だけ」「絶対に儲かる」といった緊急性を煽る表現
- 「友達紹介で報酬」といったネットワークビジネス的な要素
これらのプラットフォームでは相手の素性確認が困難なため、より慎重な対応が求められます。
高齢者特有の詐欺対策
高齢者を狙った特殊詐欺は依然多発しており、家族や地域での見守りが重要です。
特にオレオレ詐欺や還付金詐欺は、高齢者の心理を巧妙に操る手口が使われています。
以下の対策を心がけましょう。
- 家族間での合言葉の設定
- 急な金銭要求には必ず家族に相談する習慣づけ
- 不審な電話は一度切って、公式な窓口に確認する
- 留守番電話の活用で不審な電話を避ける
詐欺被害でお悩みの方は探偵に相談することもおすすめ
詐欺被害に遭ったら速やかに警察に相談し、証拠を集めて提出することで、より迅速な対応を期待できます。
証拠が不十分な場合や被害が軽微な場合でも、適切な準備をすれば警察は動いてくれます。
自分での証拠収集が困難な場合は、探偵への依頼も有効な選択肢です。
詐欺被害調査を専門とする探偵であれば、被害状況の分析や聞き込み・張り込み調査により、正確な証拠を収集できます。
場合によっては詐欺師の特定も可能なため、一刻も早い解決を望む方は探偵への相談も検討してみましょう。
探偵による詐欺調査の具体的内容
探偵事務所では、詐欺被害調査において以下のサービスを提供しています。
- デジタル鑑識調査: 削除されたメールやSNSのやりとり、通話履歴などの復元
- 実地調査: 詐欺師や関連企業・団体の実態調査
- 人物特定調査: 偽名を使用する詐欺師の身元や所在の特定
- 資産調査: 詐欺師の隠し財産や逃避資金の所在調査
- 関連被害者調査: 同様被害を受けた他の被害者の特定と証言収集
これらの専門的な調査により、警察の捜査をサポートする重要な証拠を収集できます。
国際的な詐欺事件や複雑な組織による詐欺事件では、探偵の専門知識と調査ネットワークが威力を発揮します。
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まとめ
詐欺被害で警察が動かないという認識は誤解であることが多く、適切な証拠と手続きを踏めば警察は必ず動いてくれます。
重要なのは、詐欺の構成要件を満たす証拠の収集と、被害届よりも効力の高い告訴状の活用です。
証拠が不十分な場合でも、組織的な被害や複数の被害者が存在する場合は優先的に対応されます。
詐欺被害を予防するには、個人情報の管理徹底と金銭に関わる話への警戒心が基本となります。
デジタル時代では、SNSやマッチングアプリを悪用した新しい手口も増えているため、常に最新の詐欺情報にアンテナを張ることが大切です。
詐欺被害に遭った場合は、一人で悩まず速やかに警察に相談し、必要に応じて探偵事務所などの専門機関のサポートを受けることをおすすめします。
T.L探偵事務所では、詐欺被害の証拠収集から犯人特定まで包括的なサポートを提供していますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。