結婚詐欺とは?定義や法的側面を解説
結婚詐欺とは、結婚する意思がないにもかかわらず、結婚を前提とした恋愛関係を装い、相手をだまして金銭や財産をだまし取る詐欺行為のことです。
相手の感情を利用して信頼を築き、だます手口であるため、被害に遭うと金銭的な損害だけではなく、精神的にも大きなショックを受けやすい非常に悪質な詐欺行為と言えるでしょう。
また、結婚詐欺は刑法上の「詐欺罪(刑法246条1項)」として処罰されます。
詐欺罪が成立するためには、以下4つの構成要件がすべて満たされる必要があります。
詐欺罪の構成要件
1.欺罔行為(ぎもうこうい)
加害者が嘘をつく行為を指します。
結婚詐欺の場合は、結婚する意思がないにもかかわらず、結婚の意思があるように装ったり、虚偽の身元、職業、経済状況を伝えたりすることなどがこれに該当します。
2.錯誤(さくご)
欺罔行為によって被害者がだまされる状態に陥ることを指します。
例えば、被害者が加害者の嘘を信じ込み、結婚を真剣に考えてしまうことがこれに当たります。
3.財物の交付(ざいぶつのこうふ)
欺罔行為と錯誤の結果、被害者が加害者に対してお金や財産を自ら引き渡す行為です。
例えば、結婚資金、病気の治療費、事業資金などの名目で金銭を渡すことなどが該当します。
4.因果関係
上記の「欺罔行為」「錯誤」「財物の交付」の間に直接的なつながりがあることを指します。
つまり、加害者の嘘によってだまされ、その結果として財産を渡してしまったという一連の流れが証明される必要があります。
結婚詐欺の巧妙な手口
結婚詐欺の手口はいたってシンプルです。
詐欺師は、出会ってから短期間で情熱的な愛情を示し、ターゲットに「自分が必要」だと思わせます。
そして、最終的に金銭を「自然」に要求してくるのです。
また、要求をせずとも、絶望的な状況を演じることで、相手に「助けてあげたい」と思わせて金銭をだまし取るケースもあります。
ここからは、結婚詐欺で特に使われる巧妙な手口についてご紹介します。
ネット上でターゲットと出会う
近年、マッチングアプリやSNSは、人々が気軽に交流できる場となっています。
これらのツールは非常に手軽で、簡単に人と出会える反面、詐欺師にとっても都合のよい「狩り
場」とされており、悪用されることも少なくありません。
このような場に潜む詐欺師は、多数の偽のプロフィールを作成し、理想的なパートナーを演じることでターゲットの心を掴みます。
また、ネット上では実際の姿や背景を隠しやすいため、詐欺を行うのに都合が良いのです。
【補足】
従来は結婚相談所で結婚詐欺が多発する傾向にありましたが、近年では入会審査が厳格化され、結婚相談所を選ぶ詐欺師は少なくなりました。
こうした背景も、ネットでの出会いを選ぶ詐欺師が増えたのも要因の一つと考えられます。
情熱的な愛情表現をする
詐欺師はターゲットに対し、短期間で情熱的な愛情を示します。
これは、「恋の早期段階での高揚感」を利用して、ターゲットの警戒心を下げる戦術です。
恋人や婚約者探しでマッチングアプリやSNSを利用している多くの人は、当然恋愛に対して積極的です。
そのため、情熱的な愛情表現についつい心を開きがちになります。
これにより、詐欺師との信頼関係が急速に築かれるのです。
悲しい過去や困難な状況の設定している
多くの詐欺師は、ターゲットとのやり取りの中で、悲しい過去や現在の困難な状況を抱えていると伝えます。
具体的には、以下のような内容を伝える傾向があります。
- 親や兄弟に病気があるため、医療費を立て替えてほしい
- 事故を起こしたため、医療費が必要だ
- 会社や店舗を設立するため、資金がほしい
- 事業が失敗してしまった
- 有望な投資話を聞いた
- 借金をしている
また、「結婚資金を貯めたい」「二人で暮らす新居を建てるお金を準備したい」といった内容を伝えることもあります。
これは、ターゲットの同情心や「助けたい」という感情を引き出すための戦術です。
人は、困っている相手に対して協力したいと感じる生来の感情を持っています。
詐欺師は、この感情を利用してターゲットを巧妙に操作します。
金銭を要求する
詐欺師の最終目的は、ターゲットから金銭をだまし取ることです。
そこで彼らは、前述したような、結婚のための費用、ビジネスの資金、病気の治療費など、さまざまな理由をつけて金銭の援助を求めます。
こうした要求は、先に述べた「情熱的な愛情表現」や「悲しい過去の設定」によって築かれた信頼関係のうえで行われるため、ターゲットは無意識に応じてしまうことが多いのです。
何も違和感を覚えないままお金を渡してしまい、後々相手と連絡が取れなくなってから、ようやく「自分は詐欺に遭った」と認識するケースがほとんどです。
【チェックリストあり】結婚詐欺師のサインとは?見抜くための特徴
結婚詐欺師の手口は巧妙であるため見抜きにくいものですが、特定のパターンや矛盾した行動が見られます。
ここからは、結婚詐欺師を見抜くための具体的な特徴をご紹介します。
プロフィールや言動に違和感がある
結婚詐欺師は、プロフィールなどで自身の「高スペック」を過度に強調する傾向があります。
例えば、一流大学卒業、有名企業勤務、医者や弁護士、会社経営者であると豪語したり、アイコンや日常の写真で高額ブランド品や高級車をひけらかしたりします。
しかし、その一方で、自身の家族構成、生い立ち、具体的な仕事内容など、個人的な情報をほとんど話さず、質問をはぐらかす傾向が見られます。
本当に成功している人物であれば、身元を隠す必要性は低いのが一般的です。
それにもかかわらず、「高スペック」であることを強調しつつ「個人情報」を隠しているといった違和感こそが、詐欺師の特徴の一つと言えるでしょう。
また、こうしたプロフィール上の違和感だけでなく、写真を撮られることを嫌がったり、SNSの投稿が不自然に少なかったりする場合も怪しいサインです。
これらは、証拠を残さないための行動と考えられます。
さらに、裕福な設定のはずなのに、突如として金銭に困っている様子を見せるなど、言動に矛盾が見られることも警戒すべき点です。
関係の進展が異常に早い
結婚詐欺師は、出会ってすぐに交際や結婚を匂わせるなど、関係の進展が異常に早い特徴があります。
これは、長期的な関係でボロが出てしまうことを防ぐためであると考えられます。
そのため、状況によっては知り合って1日で結婚を視野に入れた交際を匂わせる発言をすることもあるため、こうした言動がある場合は注意しましょう。
家族や友人との交流を避ける
結婚詐欺師は、自身の家族や友人など第三者に被害者を紹介せず、被害者との1対1の関係に異常にこだわる傾向があります。
これは、偽りの身元が知られたり、万が一の際に被害者が周囲に相談したりするのを防ぐためです。
また、紹介するのを避けるだけでなく、自分の職場や自宅付近でのデートを避けたり、自宅に招こうとしなかったりするのも同様の理由です。
さらに、自身の家族や友人の状況だけを考慮するだけでなく、結婚詐欺師は被害者が友人や家族と会うのを避けさせたり、孤立させようとする行動が見られることもあります。
例えば、「友人と連絡するのやめて」などと伝え、被害者の周囲の客観的な意見を聞く機会を奪います。
そうすることで、被害者は必然的に孤立し、結果的に詐欺師の言葉だけを受け入れるようになってしまうのです。
これらの理由により、相手が家族や友人の話を避ける傾向が見られる場合は、結婚詐欺師の可能性が高いと言えるでしょう。
結婚詐欺師を見抜く!チェックリスト
上記で紹介した特徴や、紹介しきれなかったポイントを踏まえ、チェックリストを用意しました。
「結婚詐欺に遭ったかもしれない」「自分が交際している相手が結婚詐欺師だったらどうしよう」などとお悩みの方は、一度チェックしてみてくださいね。
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どんな人が狙われる?結婚詐欺のターゲットになりやすい人
結婚詐欺師は、特定の状況にある人々をターゲットにすることが多いです。
では、具体的にどんな人が結婚詐欺の標的にされやすいのでしょうか?
ここからは、結婚詐欺のターゲットになりやすい人の特徴を4つご紹介します。
被害を未然に防ぐためにも、ご自身の状況を客観的に見つめ直してみましょう。
経済的に余裕がある人
経済的に余裕のある人は、最も結婚詐欺師のターゲットになりやすい傾向があります。
なぜなら、結婚詐欺師の多くはお金をだまし取ることが目的であるため、経済的に余裕がある人であれば多額の金銭をだまし取ることが容易だと考えているからです。
また、経済的な余裕があると、人は警戒心が薄れることもあり、これが詐欺師にとっては絶好のチャンスとなります。
結婚願望が強い、一人暮らしの独身者
結婚願望が強い人は、理想のパートナーを見つけることを切望しています。
特に、一人暮らしの独身者は、日常の寂しさや孤独感を感じることも多く、その心の隙間を埋めたいと願っています。
結婚詐欺師は、このような人々の心の弱点を見逃さず、甘い言葉でその心をつかむことが得意です。
そのため、ターゲットにされやすいと言えるでしょう。
情報収集や判断力に自信がない人
情報収集や判断力に自信がない人は、他者の言葉や意見に影響されやすい傾向があります。
結婚詐欺師は、このような人の不安や疑問を巧みに利用して、彼らの意志を操作します。
また、情報を正確に収集・分析する能力が低いと、結婚詐欺師の嘘が見抜きにくくなり、どのような言葉にも簡単にだまされてしまいます。
過去の失恋や離婚などで心に傷を持っている人
過去の失恋や離婚は、人の心に深い傷を残すことが多いです。
これにより、新しい愛情や関心に飢えていることが多く、誰かに理解され、愛されることを強く求めるようになります。
結婚詐欺師は、このような感情の弱点を利用して、自分たちの意のままに操作することができるのです。
心の傷は、新しい愛情や関心に対する防御力を低下させるため、詐欺師からのアプローチに無意識に応じやすくなります。
結婚詐欺に遭わないために|被害を最小限にする対処法
結婚詐欺の被害に遭わないようにいくら気をつけていても、残念ながら被害に遭ってしまうということもあり得ます。
ここからは、「交際相手が結婚詐欺師かもしれない」など、万が一被害に遭ったかもしれないと気づいた際に、被害を最小限に抑えるための対処法をご紹介します。
相手の情報を確認する
交際相手や婚約者の素性をよく知るようにしましょう。
交際が始まると、つい周りが見えなくなり、相手のことばかりを考えてしまうかもしれません。
しかし、少しでも相手に対して疑問を感じる部分や信頼性に欠けることがあれば、一人で抱え込まず、第三者の意見や公的な情報と照らし合わせて確認することが重要です。
友人や家族に相談するのはもちろん、専門家の情報やインターネット上の信頼できる情報源を利用して、相手の言葉の真実性を確かめましょう。
早急な金銭の要求には警戒する
付き合い始めてすぐや、深い関係を築く前に多額の金銭を要求されたり、急なトラブルの話を持ち出されたりしたら、それは警戒すべきサインです。
もし金銭を要求されたら、安易に応じず、返信を控えめにしたり、距離を置いたりするようにしましょう。
しかし、付き合って間もない時期は、相手に夢中になることも多く、なかなか注意することが難しいかもしれません。
一度でも相手の要求を引き受けてしまうと、さらに被害が拡大する可能性があるため、少しでも違和感を覚えたら、簡単に引き受けず一度立ち止まることが重要です。
身元をしっかり確認する
結婚を前提としている場合、どのような相手であっても一度、相手の身元や背景をきちんと調査することが非常に重要です。
相手がどこに住んでいるのか、どのような仕事をしているのか、家族構成や過去の結婚歴など、基本的な情報をしっかりと把握することで、結婚詐欺師から自身を守ることができます。
T.L探偵事務所へご相談を
交際相手や婚約者に対して何か怪しいと感じた場合、一人で悩まずに専門家に相談することをおすすめします。
相談をする際は、詐欺被害調査や結婚信用調査などを専門としている探偵に依頼することで、相手に関する情報や被害を軽減するためのアドバイスを得られるでしょう。
当社「T.L探偵事務所」では、結婚詐欺に関する疑問や不安を持つ方々を専任の相談員が徹底的にサポートしています。
専門家の視点からのアドバイスや情報収集能力は、詐欺を未然に防ぐための大きな助けとなります。
また、T.L探偵事務所では、24時間365日、無料相談を行っています。
専任の相談員が、相談者様の問題解決に向けて丁寧に親身にサポートさせていただきます。
調査の依頼をご希望される方には、お見積りをすることも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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【まとめ】結婚詐欺かも?と気づいたら一人で悩まず専門家へ相談しよう
結婚詐欺は、結婚への純粋な感情を悪用した非常に悪質な犯罪です。
その手口は常に進化し、いつ誰が被害を受けてもおかしくないのが実情です。
しかし、詐欺師の行動には共通するサインがあり、それらを見抜き、冷静かつ迅速に対処することで、被害を最小限に抑えることが可能です。
もし今、あなたが結婚を意識した相手に不信感を抱いているのであれば、決して一人で抱え込まないでください。
あなたの不安は当然の感情であり、その直感は大切な警告かもしれません。
少しでも怪しいと感じたら、まずは弊社の無料相談をはじめとした、専門家へ相談する第一歩を踏み出しましょう。
専門家が丁寧にあなたをサポートし、被害を最小限に抑えるよう、あなたを支えます。
ご自身の未来を守るためにも、ぜひ勇気を出して相談することから始めてみてください。