侮辱罪で訴えるには?証拠収集の方法や名誉棄損との違いについて解説

侮辱罪で訴えるには?証拠収集の方法や名誉棄損との違いについて解説

2025.04.24 / # 嫌がらせ調査

近年、インターネットやSNS上における誹謗中傷被害が後を絶ちません。 悪質な書き込みを受け続けて精神的に追い込まれてしまったり、ふとした投稿が炎上してしまって標的にされたり、残念なことに自ら命を絶ってしまったりなど、許しがたい事件も発生しています。 悪質な誹謗中傷を受けた際には、書き込んだ相手を侮辱罪で刑事告訴することが可能です。ケースによっては慰謝料や損害賠償請求をすることもできるでしょう。 本記事では、誹謗中傷犯を侮辱罪で訴える方法について解説するとともに、証拠収集や名誉棄損との違いなどについて解説していきます。 悪質な誹謗中傷に悩んでいるとき、また泣き寝入りしたくないときにぜひお役立てください。

【要確認】侮辱罪とは?成立要件や名誉棄損との違い

侮辱のイメージ

侮辱罪と成立要件

侮辱罪とは、公然と人を侮辱したときに成立する犯罪のことを指します。

(侮辱)
第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(引用元:e-GOV法令検索「第231条 侮辱罪」

法律上の『公然』とは、不特定多数の人が認識できる場所や状態のこと。

公共の場所はもちろん、SNSを含むネット上やマスコミ報道も『公然』に該当します。

『事実を摘示しない』とは具体的な事実・理由を出さないという意味になるため、抽象的な言葉でも侮辱罪として成立するということ。

具体的にどのような言葉が侮辱罪になるのか、次章で詳しく見ていきましょう。

侮辱罪にあたる言葉

  • 罵倒する言葉…バカ・アホ・ゴミ・クズなど
  • 容姿や身体的特徴を否定・揶揄する言葉…ブス・チビ・ハゲ・デブ・キモイ・ダサイなど
  • 人格を否定する言葉…役立たず・給料泥棒・無能・育ちが悪い・キモイなど
  • 過激な言葉…消えろ・死んでしまえ・など

上記のような言葉を人に対して公然で使用した場合は侮辱罪に該当し、1年以下の懲役か禁錮刑、または30万円以下の罰金などに処せられます。

ちなみに、公然性がない場所・状態(1対1の当事者同士のやり取り、メール・LINE・DМなど)だった場合に侮辱されても侮辱罪には該当しないため注意しましょう。

法務省のホームページ内にも詳しい事例・判例が紹介されていますので、「これは侮辱罪に該当するのか?」というときには本記事とあわせて参考になさってください。

参考文献:法務省「侮辱罪の事例集」

侮辱罪と名誉棄損との違い


侮辱罪と似たようなものに名誉棄損罪があります。

(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

(引用元:e-GOV法令検索「第230条 名誉棄損」

名誉棄損は、具体的な言葉や理由(真実であるかは問いません)を出して公然に人の名誉を傷つける行為です。

例文をあげると、次のようなものがあります。

  • あなたのやっていることは詐欺だ
  • 頭が悪いからそういう考えになる
  • お前はゴミだから成功しない

上記のような文を公然で使用した場合は名誉棄損罪に該当し、3年以下の懲役または禁錮、または50万円以下の罰金に処せられます。

侮辱罪と名誉棄損罪の違いは『事実の適示=具体性』があるか、ないかという点。

事実の適示がない場合は侮辱罪に該当し、事実の適示があるケースは名誉棄損罪に該当すると認識してよいでしょう。

なお、書かれた内容が真実であるかは問われませんので、根も葉もない内容の噂を広められた場合でも名誉棄損に該当します。

名誉棄損にあたるような誹謗中傷被害を受けている方は、こちらの記事に詳しくまとめておりますのでぜひご一読ください。

侮辱罪で訴えるには?証拠収集の方法や慰謝料の相場を解説

慰謝料

1. 被害を立証するための証拠の準備

被害を立証するためには、第三者からみても「誹謗中傷されている」ということを証明できる証拠を準備することが大切です。

【口頭で侮辱されたケース】

  • 侮辱行為の録音記録
  • 侮辱行為があったことを証言してくれる人物


【チラシで侮辱されたケース】

  • 発言が記載されているチラシの現物
  • チラシを投函する場面を抑えた写真や動画


【ネットやSNSで侮辱されたケース】

  • 投稿されているページのURLを記録
  • 該当ページをスクリーンショットやPDFで保存、またはプリントアウトする
  • 投稿者のIPアドレスや投稿者の個人情報など

ネットやSNSでの侮辱の場合、早期の対応が重要です。投稿を消される前に保存しておきましょう。

2. 悪質な書き込みをした加害者を特定する

匿名で侮辱・誹謗中傷された場合、誰が侮辱行為をおこなっているのか、加害者を特定する必要があります。

【チラシで侮辱されたケース】
チラシで侮辱された場合、投函する姿を目撃した人がいないか探してみましょう。
防犯カメラを付けている家があれば、録画記録を見せてもらうことで特定できるケースもあります。

【ネットやSNSで侮辱されたケース】
ネットやSNSで侮辱された場合は、サイトの運営者や管理人に対して加害者の情報を開示・提供するよう請求=開示請求の手続きをおこないます。

1. サイトの運営者・管理人に「発信者情報開示請求書」を送付し、加害者が誹謗中傷を書き込んだ際に使用したデバイス(スマホやパソコンなど)のIPアドレス、タイムスタンプなどを入手する

2. 入手した情報をもとに、加害者が契約しているプロバイダを特定する

3. プロバイダに対し、加害者の個人情報の開示を請求する

(参考文献:情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会「発信者情報開示請求書」、国税庁「開示請求等の手続き」

開示請求は自分でおこなうことも可能ですが、不安な場合は弁護士に依頼することもできます。
弁護士費用として100万円ほどかかると認識しておきましょう。

3. 刑事告訴する・告訴状を作成する

加害者を特定できたら、6カ月以内(告訴の時効)に告訴状を作成し、事前に準備した証拠類と一緒に警察署に提出しましょう。

提出先の警察署は加害者の住所地、または被害者の住所地のどちらかを管轄する警察署が一般的です。

告訴状の作成には専門的な知識が必要なため、できれば弁護士や行政書士などに依頼することをおすすめします。

自分で作成する際には次のような事項を記載しましょう。

  • 告訴人
  • 告訴事実の趣旨・事実
  • 告訴に至った経緯
  • 処罰の意思表示 など

警察署に告訴状を提出しても不備がある場合などは直ぐに受理されるとは限りません。

また、受理されたとしても捜査開始まで数ヵ月〜1年以上かかると思っておいた方が良いでしょう。

弁護士に同行してもらい、事情を説明してもらえば受理してもらいやすくなるでしょう。

さらには加害者が逮捕されたとしても、不起訴処分や起訴猶予など希望していた処罰に至らないこともあるためご注意ください。

【要注意】侮辱罪も名誉棄損罪も「親告罪」

侮辱罪は親告罪(被害者・被害者の法定代理人など)からの告訴がなければ、起訴できません。

「友達が侮辱されたから訴えたい」「彼氏・彼女が侮辱されたから代わりに訴えたい」ということはできないためご注意ください。

誹謗中傷を受けたら探偵に依頼するのもおすすめ

SNSの誹謗中傷
探偵事務所では開示請求をおこなうことはできないものの、インターネット上に掲載されているあらゆる情報から捜索を開始し、相手の氏名や住所などを特定することが可能です。

また、誹謗中傷が何処に書かれているのかわからない場合にはネット上をくまなく探し、投稿内容を抑えることもできます。

調査費用は難易度によって異なりますが、相場はだいたい10〜80万円程度。

思うように証拠が収集できないとき、また加害者を特定したいときには、嫌がらせ調査に強い探偵事務所の無料見積もり相談のご利用をおすすめいたします。

刑事告訴以外でできること

裁判イメージ

民事訴訟にて慰謝料・損害賠償を請求する

「刑事告訴するのは抵抗がある」「加害者側に何らかの償いをしてほしい」

そのようなときは、民事訴訟を起こし慰謝料請求(損害賠償請求)をおこなうことも可能です。

侮辱罪の慰謝料相場は約10万円前後。

決して高い金額ではありませんが、被害の内容によっては金額が上がったり、発信者情報開示請求や訴訟にかかった費用などの請求も認められることもあります。

ちなみに、名誉棄損罪の慰謝料相場はおよそ10万円〜100万円程度。

侮辱罪に比べて刑事罰が重いため、慰謝料も高くなる傾向があります。

民事訴訟をする際も、まずは証拠の収集と加害者の特定が必要です。

自分で開示請求をして加害者を特定することもできますが、専門的な知識が必要なときもあります。

不安なときは弁護士、または探偵事務所までご相談ください。

書き込みの削除請求をする

「嘘の内容を削除してほしい」 「書き込みが拡散されて困っている」

ネット上やSNSに書き込まれた内容を削除したいときは、サイトの運営者・管理者に削除請求をおこないましょう。

【サイト運営者・管理者に削除請求をする手順】

  1. 法務省のホームページ内にある「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書」を作成し、サイトの運営者や管理者に提出する
  2. サイトの運営者・管理者が、加害者に対し書き込み削除に関する意見照会をおこなう
  3. 加害者が同意した場合のみ書き込みが削除される

もうひとつの方法として、地方裁判所に「記事削除の仮処分命令の申し立て」をする方法もあります。

これは、正式な裁判の前に、裁判に勝訴したときと同じ状態を確保するよう求める手続きのこと。

裁判所に認められれば削除命令が発せられ、ほとんどの場合において相手方は削除に応じます。

もしも削除に応じない場合も、強制執行の手続きを取ることができるため安心です。

【裁判所に記事削除の仮処分命令の申し立てをする手順】

  1. 裁判所に仮処分命令申立書と証拠を提出する
  2. 裁判官と面談し、文書や口頭で意見を主張する(審尋)
  3. 担保金を供託する(おおよそ10~30万円程度。のちに返金されます。)
  4. 仮処分命令が発令される

仮処分申立書の作成には専門的な知識が必要です。

裁判所に認められるような書面を作成しないと、認められないこともあるため、弁護士、または行政書士に相談することをおすすめいたします。

(参考文献:法務省「侵害情報の通知書兼送信防止措置依頼書(名誉毀損・プライバシー)」、 裁判所「保全事件の申立て」

インターネットへの悪質な書き込み、SNSでの誹謗中傷に悩まれている方へ

証拠収集や犯人特定なら、嫌がらせに特化した探偵事務所に依頼をするのもおすすめです。

TL探偵事務所でも、これまでに誹謗中傷に関する証拠収集や相手の特定、所在地の確認など多くの調査をおこなってまいりました。

解決後にも、弁護士の紹介や情報が拡散されないようにするためのアドバイスなど、さまざまなアフターサポート体制を整えております。

相談窓口は24時間、電話・メールにて受付しておりますので、ネットやSNSでの誹謗中傷に悩まれている場合は、ぜひお気軽にお問合せください。

弊社の嫌がらせ被害専門の相談員が対応し、問題解決に向けたご提案をさせていただきます。

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