【婚約中の浮気】浮気相手に慰謝料を請求できる条件とは
婚約中に肉体関係を伴う浮気をされた際には、民法709条で定められている『不法行為に基づく損害賠償請求』として婚約者と浮気相手の両方に慰謝料を請求できる可能性があります。
(不法行為による損害賠償) 第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:e-Gov法令検索「第五章 不法行為」
ただし、慰謝料を請求できるのは条件を満たしているときのみ。
慰謝料請求ができる条件は以下の5つになります。
- 婚約が成立している
- 浮気が不貞行為に該当する
- 慰謝料請求の時効が成立していない
- 浮気相手が婚約していることを知っていた
- 浮気を理由に婚約破棄・解消をした
上記の5項目について詳しく解説していきます。
1. 婚約が成立している
婚約が成立していればお互いに『結婚をする約束をしている』ということになり、結婚の約束を履行する法的責任を負うことになります。
よって、婚約が成立したあとに婚約者が浮気相手と肉体関係をもった場合、それは不貞行為。
婚約者と浮気相手の両方に慰謝料を請求できる可能性があります。
ただし婚約が成立しているとして法的に保護されるためには、以下のような客観的な事情が必要です。
【婚約成立の判断基準例】
- 婚約指輪を渡している
- 結納を済ませている
- 互いの家族・友人に紹介している
- 結婚式場や新婚旅行の予約をしている
- 結婚披露宴・パーティーの招待状の発送を済ませている
- 共同生活に向けた準備を進めている
- 結婚相談所など、結婚を前提にしたイベントで出会った
上記のような客観的事情のすべてが必要なわけではないものの、1つしか当てはまっていない場合は法的に保護されない恐れもあります。
もちろん、「いつか結婚しようね」など口約束だけでは保護の対象外になる可能性が高いでしょう。
客観的な事情を満たしていない場合は、婚約中ではなく『交際中の男女』とみなされます。慰謝料請求ができない可能性が高いためご注意ください。
2. 浮気が不貞行為に該当する
浮気の種類には、遊び・本気・1回きり・複数回などさまざまなものがあり「どこからが浮気なのか分からない」という人も多いことでしょう。
婚約中に慰謝料請求ができる浮気は「不貞行為=婚約者以外の人物と肉体関係を持つ行為」に限られます。
よって、キスやデートだけでは不貞行為としてみなされず、もちろん慰謝料を請求することもできません。
もしも婚約者と浮気相手が「肉体関係はなかった」と不貞行為を否定し、かつ肉体関係があったことを証明できる証拠もない場合は慰謝料請求が認められないことがほとんどです。
慰謝料が請求できるか否かは証拠が重要になってきますので、詳しくは後述する「浮気相手に慰謝料を請求する方法」を参考にしてください。
3. 慰謝料請求の時効が成立していない
慰謝料を請求する際には、時効が成立していないことも大事なポイント。
不貞行為による慰謝料請求の時効は3年、または20年のいずれか早い方になります。
- 浮気の事実と浮気相手を知ってから3年間
- 浮気の事実があった時から20年間
浮気相手に対して慰謝料を請求する場合、相手の顔はわかっていても名前や住所を知らないと浮気相手を知ったとはいえません。
つまり浮気相手を特定できるまでは3年の時効はカウントされないということになります。
もちろん、結婚後に婚約中の浮気が発覚した際も、時効が成立していない限り慰謝料の請求は可能です。
ただし、当時の証拠がまったく残っていない場合は請求できないこともあるためご注意ください。
4. 浮気相手が婚約していることを知っていた
婚約中に浮気をした婚約者と浮気相手は、共同して他人の「夫婦同様の共同生活の平和を維持する」という法的権利・利益を侵害したとして『共同不法行為』が成立します。
共同不法行為が成立すると両当事者は被害者に対して慰謝料を支払う義務が発生しますが、この際に浮気相手が「相手に婚約者がいることを知らなかった」という場合は慰謝料を請求することができません。
ただし、浮気相手が婚約しているとは知らなかったと言い張っていても、婚約者と関係を持つ際に配偶者・婚約者・交際中の相手がいないかを確認しなかったという理由で過失を問われるパターンもあります。
5. 浮気を理由に婚約破棄・解消をした
夫婦間で不貞行為があった場合、夫婦が離婚しなくても浮気相手に慰謝料の請求をすることが可能です。
しかし婚約関係の場合はまだ結婚に至っていないため、夫婦関係よりは法的な保護が薄くなってしまいます。
よって、浮気の事実があったけれど相手を許し、婚約関係を継続する場合、残念ながら『浮気相手が当人に与えた損害が小さい』と判断され慰謝料請求が認められない、または少額しか請求できないでしょう。
逆に「婚約中に浮気をするような男性・女性とは結婚できない」と婚約破棄・解消した場合であれば、婚約者と浮気相手の両方に慰謝料の請求が認められます。
結婚式場のキャンセル費用も請求できますので、詳しくは次章「浮気相手に請求できる慰謝料の相場」をご一読ください。
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浮気相手に請求できる慰謝料の相場
婚約中の浮気の慰謝料は、婚約を継続するか否かで金額が変わってきます。
- 婚約を継続する…50万円〜100万円程度
- 婚約破棄・解消…100万円~200万円程度
ただし、浮気が悪質であると判断された場合には慰謝料の増額できる可能性があります。
- 浮気していた期間が長く、何度も肉体関係があった
- 婚約していた期間が長く、事実上夫婦とみられる実態があった (事実婚)
- すでに結婚式場を手配しており、婚約破棄・解消によるキャンセル料がかかった
- 浮気相手が婚約者の子どもを妊娠または出産をした
- 反省がない
上記のようなときは、相場よりも高い金額が請求できる可能性があります。
婚約を継続するときも、婚約破棄・解消する場合も、婚約者と浮気相手との間に肉体関係があったことを客観的に証明する証拠が必要です。
証拠となり得るものについては次章で紹介しますので、あわせてご一読ください。
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浮気相手に慰謝料を請求する方法
浮気相手に慰謝料を請求するときには、次の5つの手順でおこないます。
- 証拠を揃える
- 話し合いで請求する
- 内容証明郵便を送る
- 慰謝料請求の申し立てをする
- 慰謝料請求訴訟を起こす
上記の方法について、ひとつずつ確認していきましょう。
1. 証拠を揃える
浮気相手に慰謝料を請求する前に、婚約が成立していた証拠・浮気があった事実を客観的に証明できる証拠・浮気相手が婚約の事実を知っていた証拠の3つを揃えておきましょう。
【婚約が成立していた証拠】
- 結婚式の申込書や予約表、内金の領収書
- 婚約指輪やその鑑定書、領収書
- 結納品や結納品を購入した際の領収書
- 結婚の約束をした際のメールやLINEの文言
【浮気の証拠】
- 性行為や2人でラブホテルに通っている様子をとらえた写真や動画
- 性行為が確認できる内容のメールやLINEのやりとり、通話データ
- 浮気相手と利用したラブホテルの領収書
- 浮気をしていることがわかる、探偵の調査報告書
【浮気相手が婚約の事実を知っていた証拠】
浮気相手に慰謝料を請求するためには、浮気相手が婚約の事実を知っていて、故意により関係を持ったことを立証する証拠が必要です。
浮気相手の故意を立証するために、以下のような事実があったことを証明する必要があります。
- 夜間など限定的な時間帯しか会っていない
- 土日に連絡しておらず、会ってもいない
- 親や友人を紹介されていない
- ホテルや自宅などの密室でしか会っていない
このような一般的な交際関係ではありえない事情があったにも関わらず、相手に婚約者がいることを知らなかった、または確認しなかったことは、通常必要とされる注意義務を欠いているとして過失が認定される可能性があります。
証拠が揃わないときは、また証拠の確保が難しいときは調査のプロ・探偵に相談しましょう。
証拠の獲得だけでなく、「浮気相手の身元を特定したい」「浮気相手の連絡先を婚約者が教えてくれない」といったときも探偵であれば調査が可能です。
多くの探偵で無料見積もり相談をおこなっていますので、まずは無料の範囲内で相談してみることをおすすめします。
2. 話し合いで請求する
証拠が揃ったら、浮気相手と話し合いの場を設けましょう。
顔を合わせたくないとき、また話し合いを有利に進めたいときは弁護士に依頼するのもおすすめです。
話し合いの末に慰謝料の支払いについて合意がまとまれば、合意書を作成しましょう。
合意書の内容は、慰謝料の金額や支払方法、支払い期限、支払いを怠った時のペナルティなどを盛り込みます。
この合意書を公正証書にしておけば、万が一慰謝料が支払われなかった場合に強制執行で財産の差し押さえをすることが可能です。
合意書は自分で作成することもできますが、自信がないときや不備が心配なときは弁護士や司法書士への依頼をおすすめします(1通5~10万円程度)
3. 内容証明郵便を送る
相手が話し合いに応じようとしないとき、また口頭やメールなどで慰謝料を請求しても拒否される場合は、内容証明郵便を送りましょう。
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に・どのような内容の手紙を送ったかを郵便局が証明するサービスのこと。
送付の仕方や書式などが定められていますので、あらかじめ郵便局のホームページでチェックしておくと安心です。
(参考元:日本郵便株式会社「内容証明 ご利用の条件等」)
内容郵便に法的効力はありませんが、相手にプレッシャーを与えることは可能です。それでも相手が応じなかった場合は、家庭裁判所に慰謝料請求の申し立てをおこないましょう。
4. 慰謝料請求の申し立てをする
話し合いで解決できなかったとき、また内容証明を送っても反応がなかった場合は、家庭裁判所に慰謝料請求の申し立てをおこないます。
調停では調停員が間に入ってくれるため、本人同士が顔を合わせ話し合う必要がありません。
相手が調停に出席しなかったり、慰謝料の額に合意が得られなかったりした場合は、解決が困難と判断され裁判へと移行します。
5. 慰謝料請求訴訟を起こす
調停でも話がまとまらない場合は裁判へと進みます。
裁判に踏み切るときは、お互いの事実確認の相違に備えて証拠の準備・提出が必要です。
- 本当に浮気をしていたか
- 婚約が成立していたか
- 婚約していたことを本当に浮気相手が知っていたのか(過失により知らなかったか可能性はないか)
裁判となると、訴状の提出から第1回口頭弁論までが約1カ月、さらには相手が反論をしてくるなど複数回の弁論が必要になったときは、判決までに1年以上かかることも珍しくありません。
長期化により精神的苦痛を負うこともありますので、訴訟するか否かはじっくりと検討することをおすすめします。
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まとめ
婚約中に婚約者に浮気をされた場合、浮気相手に慰謝料を請求できる可能性は大いにあります。
婚約者が浮気をしていることが確定したとき、また浮気疑惑が生じたときは、慰謝料の請求に備えて速やかに証拠の収集と浮気相手の特定をおこないましょう。
証拠は婚約していた証拠・浮気の証拠・婚約していることを浮気相手が知っていた証拠の3種類が必要であり、証拠があるか・ないかで慰謝料が請求できるか否か大きく左右します。
証拠集めや浮気相手の特定が難しいと感じたときは、調査のプロ・探偵へ相談してみましょう。
弊社・TL探偵事務所でも、浮気調査や浮気相手の身元調査など幅広い調査を取り扱っています。
根本的な解決に向けて全面サポートいたしますので、悩んだときはぜひお気軽にご相談ください。